女系家族のミツバチ
ミツバチはひとつの巣を『家』とし集団で生活をしていますが、その家族構成は、1匹の女王蜂と働き蜂が9割、残りの1割はオス蜂という構成から成り立っています。働き蜂というと、どこかオスのイメージがありますが、実は働き蜂はすべてメスで巣作りやエサ集めに始まり、門番や幼虫の子育てなどを行います。メスと言っても働き蜂には生殖力はなく、卵を産む役目は女王蜂だけ。ただ、ひたすら多くの仕事をせっせせっせとこなしているのです。
一方、少数派のオス蜂はというと、働き蜂のような仕事は一切せずブラブラしています。もちろん、なにも仕事がないというわけではありません!子孫を残すという大きな役目があることはあるのですが…。
初夏になり繁殖期を向かえた女王蜂と共に結婚飛行に出かけていき、そこで子孫繁栄を果たしたオス蜂は力尽き落下し消えてしまいます。この結婚飛行で役目を果たせなかったオス蜂たちは、一旦、巣に戻りますが、越冬に向けて食料が少なくなるため、メスの働き蜂により巣から追い出されてしまいます。そして自給自足のできないオス蜂たちはやがて消えてしまいます。
このような女系家族の中で、その短い生涯を終えるオス蜂はなんとも悲しい運命のような気がしますが、このようにそれぞれの役割をはっきりと分けることでミツバチの家族は成り立っているのです。オス蜂が命をかけつないだことにより、女王蜂は卵を産み続けることができ、日中の気温が高くなる季節を迎えると働き蜂は花粉を求めて外に出かけたりと巣の中も活発になり始めます。そしてまた大家族となる暖かい春がやってくるのです。