日本の薔薇の原点は…

日本の薔薇の原点は…

西洋では昔から愛されてきた薔薇ですが、日本で古代から生えていた薔薇はノイバラといって、西洋の華やかな薔薇とは違い、小さな花のトゲがある植物で香りも強くない地味なイメージが強かったようです。

日本で最も古い和歌の本「万葉集」に、野生のノイバラのことが「宇万良(うまら)」「棘原(うばら)」という名前で書かれていて、花よりもからまる枝やトゲが印象的だったようで「うまら」「うばら」はトゲある植物・いばらを意味する言葉だそうです。

道の辺のうまらのうれに延ほ豆のからまる君をはかれか行かむ
(道端の薔薇の枝に絡みつく豆の弦のように別れを悲しんですがる者を残して旅立たなければならないという別れのつらさを詠っているようです)

平安時代になると「薔薇」という漢字が登場します。
「枕草子」や「古今和歌集」にも薔薇が「そうび」と呼ばれてでてきます。
登場する薔薇はノイバラではなく、中国からやってきたコウシンバラ(月季花・長春)を歌ったものと考えられています。

<日本で初めての薔薇の絵>
14世紀初頭に絵巻物「春日権現験記」で紅色の八重が美しいコウシンバラが描かれています。これにより観賞用として貴族の庭に植えられていたことが分かりました。

コウシンバラ

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